01デッサンを伝える手段として考えた
artgymによるデッサンのワークショップは、PORTOFINOを会場として紹介された。絵を相手に自分を伝えるための道具として考える内容で、描くことに関心があってもためらっていた人へ向けた企画だった。描き方を一つの技術だけで捉えるのではなく、表現と伝達の関係から入る入口だった。
フェアの会場が日常の店舗だったことと同じように、この企画もアートとの距離を近づけようとした。完成した絵を見る立場から、線を引いて相手に何かを伝える立場へ移ることで、作品への関わり方を変える内容だった。
02和紙と新聞紙、それぞれの手触り
森田千晶による企画は、ディペッシュティアラ表参道店で和紙のレターセットを作るものだった。紙をすく過程を体験し、オリジナルのレターセットにつなげる内容が紹介された。完成した紙だけでなく、紙が形になる過程に触れる時間が設けられた。
一ツ山チエ・玉井健司による「ねじねじアート」は、Rinを会場に新聞紙のこよりを使って動物を作る企画だった。読み終えた新聞紙を生物の形へ変える一ツ山チエの作品世界と、身近な素材を手で変えていく体験が結び付けられていた。和紙と新聞紙という異なる紙の使い方が、この年の制作企画に並んだ。
03制作が見えるライブペインティング
イノウエジュンのライブペイントはMIHARAYASUHIRO TOKYO、澁谷忠臣のライブペインティングはOSKLENで紹介された。描き終えた作品だけではなく、画面が変わっていく過程を目にする内容だった。店舗の時間と制作の時間が重なることが、フェアの特別な場面になっていた。
水金地火木土天冥海では、小林敏也+Eatable of Many ordersによる「注文の多い料理店」のスライド紙芝居が紹介された。小林敏也の絵、朗読、伴奏、衣服が組み合わされ、文学と視覚表現と装いが同じ場で重なった。
04映画を通して作品との関係を語った
hpgrp GALLERY TOKYOでの「ハーブ&ドロシー 佐々木芽生監督トークイベント」は、「11月2日(金)」の企画として記された。映画の映像を交え、制作の話や新作について監督が語る内容だった。制作秘話に加えて、新作への思いや見どころについて語られる構成だった。
Juana de ArcoではMariana Cortesを迎えたパーティーも紹介された。展示作品だけでなく、その表現に関わる人と同じ場にいる時間がプログラムに組み込まれていた。会期を通して、店は展示の場所、制作の場所、会話の場所という異なる役割を担った。
0512日間という構成
第6回は12日間と、それまでで最長の会期だった。約50店舗(予定)、10~15ギャラリー、60名以上のアーティスト(予定)という概要の中に、これらの個別企画が置かれていた。店舗の参加方法が多様化していたことも、当時の紹介で語られた。
個々の催しを並べると、アートを楽しむ方法がひとつではなかったことが分かった。自分で作る、制作を見る、朗読を聞く、映画について考える。その違いを街の中でつなぐ形式が、2012年のフェアの広がりを示していた。
