青山通りから、表参道へ2007 — 2015

フェアの考え方

青参道アートフェア — 店から始まるアート

店に入ることが、アートへの入口になった。青参道アートフェアは、街をアートで賑わせ、若手現代アーティストの作品を購入する楽しみを伝えるための催しだった。

窓から柔らかな光が入る、白い壁の展示空間
展示空間のイメージ

01日常の空間に作品が置かれた

青参道にはブティック、ギャラリー、カフェ、美容室などが並んでいた。フェアではそれらの店舗スペースがアートを飾る会場になった。特別な展示場へ行くために日常を切り離すのではなく、買い物や散歩の途中で作品と出会える構成だった。

現代アートには高価で難しいというイメージが残っていた一方で、若手アーティストの作品には手頃なものも多いとフェアの紹介は述べていた。初めてアートを購入した人も少なくなかったことが、その考え方を示す例として挙げられた。作品を知ることと、暮らしのなかに迎えることの間を近づけようとした催しだった。

02見ることから、関わることへ

会場となった店では、作品の展示に加えてライブペインティング、ワークショップ、トークなども行われた。2011年のプログラムには、はまぐちさくらこのライブペインティング、ONOによる漫画制作、赤池完介のステンシル実演、通りを歩くシブヤ大学の企画があった。作品の完成形だけでなく、制作や対話の場面にも触れる構成だった。

2012年のプログラムには、デッサン、和紙のレターセット、新聞紙のこよりを使った造形などが並んだ。写真や映像をめぐるトークもあり、作品を鑑賞する経験は、作ること、聞くこと、街を歩くことへと広がった。来訪者が作品に近づく方法を一つに決めないことが、店舗を使うフェアの幅を生んでいた。

03通りから周辺の街へ

2010年から会場は青参道だけに留まらず、表参道、原宿、キャットストリートへ広がった。2011年の紹介では、ファッション系のショップを中心とする25店舗が会場として記された。翌年は約50店舗が予定され、会期も12日間と記された。各年の規模は同じではなく、回遊する範囲や催しの組み合わせにも違いがあった。

大通りから路地へ入り、ある店から次の店へ移動することは、街の紹介とフェアをつなぐ基本の動きだった。作品と出会う順序は、店の入口や通りの曲がり方によっても変わった。一枚の絵や一つの展示だけでなく、その前後に歩いた時間もフェアの経験に含まれていた。

04写真と、LOVE and PEACE

2014年は「Focus Photography」を掲げた。写真が日常のさまざまな場面にあることから、アートを購入する楽しみをさらに身近に考えようとした回だった。写真の中に何が記され、どのように受け取るかという、見る側の関わり方にも焦点が置かれた。

2015年は「LOVE and PEACE」を主題にした。使い慣れた言葉がその時代に何を意味するかを問い、アートの中に手掛かりを探した。毎年同じ形式を繰り返しただけではなく、その年の言葉や題材を通じて、日常とアートの関係を問い直していたことが読み取れた。

年ごとの記録