青山通りから、表参道へ2007 — 2015

青参道アートフェア・参加会場の記録

2015年 利庵アーツコレクション|りあんと勝手な仲間たち

利庵アーツコレクションは、青参道アートフェア2015で「りあんと勝手な仲間たち」を紹介した。アレイ、池田良二、海田曲巷、寺田康雄、寺田鉄平、原田歴鄭、檜山永次、藤島祥枝、三澤憲司という、様々な分野の作家が名を連ねていた。

窓から柔らかな光が入る、白い壁の展示空間
展示空間のイメージ

01異なる素材を扱う九人

彫刻家の三澤憲司は、石や金属による大型彫刻やモニュメントを手がけてきた。1945年に長野県で生まれ、多摩美術大学で油絵を学んだ。1969年の第1回国際彫刻展でコンクール賞を受けた後、世界23ヵ国を旅し、古代の巨大遺跡に触れた経験を大型彫刻の制作へつなげたという経歴が紹介されていた。

海田曲巷は茶杓師として紹介された。1946年に福岡県で生まれ、中学時代から茶道に親しみ、大学卒業後に陶芸の世界へ入った。茶杓の制作は独学で始め、1992年の青山での初の茶杓展以降、各地で茶杓展を重ねていた。銅版画家の池田良二については、時間と記憶をテーマに、陰影やパターンによる境界線を用いたエッチングが紹介されていた。

02陶、紙、書、環境へ

寺田康雄は、陶の素材や焼成を工夫し、器からオブジェ、公共空間の作品へと表現を広げた陶芸家だった。寺田鉄平は、織部、黒織部、焼締、鉄釉などの技法を踏まえながら制作していた。親子それぞれの略歴が並び、同じ陶という素材にも異なる制作の歩みがあったことが示されていた。

檜山永次は、パッケージデザインやペーパークラフトの仕事を背景に、ダンボールによるおもちゃや空間づくりを続けていた。原田歴鄭は篆刻家・書人、藤島祥枝は環境アーティスト、アレイは画家として紹介されていた。平面と立体、手で扱う小さなものと空間全体に関わる仕事が、ひとつの紹介に並んでいた。

03ダンボールの茶室「らぶあん」

会期中の企画には「ほのじ茶会」があった。日付は「10月17日(土)・18日(日)」と示され、ダンボールで造った二畳中板の茶室「らぶあん」を設ける内容だった。「りあんと勝手な仲間たち」による茶会として、作品を見ることと茶の場を経験することが結び付けられていた。

会場の紹介は、東洋古美術から近代工芸、現代美術、アンティークグラスまでを扱ってきた幅の広さに触れていた。この年の企画でも、分野をひとつに絞らず、様々な作家の仕事を同じ場で紹介する構成が採られていた。

04九人それぞれの表現の背景

原田歴鄭は、書道、篆刻、刻書の分野で活動し、美術専門誌「墨」の編集にも長く関わっていた。1984年に台湾を訪れ、王壮為の印集に触れた経験が経歴に記されていた。文字を紙に記すだけでなく、彫ることによる表現も、その仕事の中心になっていた。

藤島祥枝は、1970年の日本万国博覧会のエキスポタワーに関わる原画イラスト制作を出発点として紹介されていた。イラスト、グラフィック、ファッションのデザインを経て、橋梁やモニュメント、公共空間の景観づくりへ関わった経歴があった。2012年からは作詞にも活動を広げていた。

アレイは1973年に生まれ、1994年に武蔵野美術大学彫刻科へ入学し、2001年に卒業制作を東京都美術館で発表した。2005年には父の三澤憲司と親子展を開催したと記されていた。同じ企画に並んだ名前にも、素材や世代、制作へ向かった経路の違いがあった。

052015年のフェアの中で

第9回の青参道アートフェアは「LOVE and PEACE」を掲げ、青参道一帯に加え、青山、表参道、原宿など約40店舗、40組以上のアーティストを紹介した。ショップやカフェが展示の場となったフェアの中で、この会場は彫刻や工芸、茶会という複数の入口を持つ参加記録を残した。