青山通りから、表参道へ2007 — 2015

青参道アートフェア・参加会場の記録

2014年 利菴アーツコレクション|三澤憲司

青参道アートフェア2014のLYAN ARTS COLLECTION(利菴アーツコレクション)では、三澤憲司が紹介された。石と金属、自然と人工という異なる性質を持つものの関係を、空間の構成によって表現してきた作家だった。

窓から柔らかな光が入る、白い壁の展示空間
展示空間のイメージ

01異なるものの「不調和の調和」

当時の紹介は、異質な物質同士の「不調和の調和」を図るという言葉で、その制作を説明していた。立体造型作品を制作する一方、庭園、環境設計、モニュメントも手がけ、新しい造型と空間感覚を結び付けた仕事を行っていた。

彫刻を一個の物体として見るだけでなく、素材の相違と、その周囲に生まれる関係に注目した説明だった。作品の形と設置された空間が、ひとつながりの制作として扱われていたことがうかがえた。

02学びと個展の歩み

三澤憲司は1945年に長野県で生まれ、1968年に多摩美術大学油絵科を卒業した。1969年に第1回国際彫刻展でコンクール賞、1983年に第16回現代美術展で東京都美術館賞を受賞した経歴が記されていた。

1984年には文化庁芸術家在外研修員としてニューヨークへ渡り、イサム・ノグチのスタジオで研修した。1986年にはハーバード大学の客員教授として招かれ、カーペンターセンターで個展を行った。紹介された個展歴には、そのほか1976年の三越、1995年のBunkamuraギャラリー、1998年のふくやま美術館での発表が並んでいた。

03公共空間の仕事

モニュメントの記録には、1984年のいわき市立美術館彫刻庭や石神井公園、1989年の東京都中央卸売市場の正面ゲート、1993年の滋賀県琵琶湖記念公園での仕事が挙げられていた。1995年の東急電鉄日吉駅前の「虚空自像」、2007年の大崎駅のモニュメントも紹介されていた。

こうした経歴は、2014年のフェアに参加した作家の背景として掲載されたものだった。過去の大型作品を会場内に展示したという意味ではなく、立体や空間に向けられた長年の関心を示す紹介だった。会場での個々の出品作名や点数は、詳しく記されていなかった。

04研修の経験と近年の発表

2008年には、国立新美術館の文化庁芸術家在外研修制度40周年記念「旅」展へ出展したことが紹介されていた。2012年にも同館のDOMANI展へ出展したと記され、海外での研修経験とその後の制作をたどる発表歴が含まれていた。

1990年の遠州灘海浜公園のモニュメントには55トン石材、1989年の東京都中央卸売市場正面ゲートのモニュメントには60トン石材という規模が記されていた。1995年の「虚空自像」は直径2.2mのステンレス球と説明され、石と金属という素材の違いも具体的に示されていた。

2014年の仕事には、豊川市の「宇宙と地球を結ぶ鎖」というモニュメントが記されていた。石や金属の物質性だけでなく、それを取り巻く空間を含めた制作が、参加作家を紹介する軸になっていた。

05多様な美術を扱った会場

利菴アーツコレクションの当時の紹介には、東洋古美術、近代工芸、現代美術、アンティークグラスという分野が並んでいた。2014年の記録では、その会場と三澤憲司の立体表現が結び付けられていた。

フェア全体は写真に焦点を当てた「Focus Photography」だったが、参加紹介には写真以外の素材や媒体を扱う作家も含まれていた。この会場の記録は、写真を入口とする年の構成の中にも、石や金属、空間へ目を向ける表現があったことを伝えていた。