01地図と出展者一覧が支えた回遊
青参道アートフェアは、店舗のスペースを作品の展示場所にした催しだった。ひとつの大きな会場へ入る形式とは違い、通りに並んだ入口を移動することが鑑賞の一部になった。2008年の案内では、通りと店の情報に加えて出展者の一覧が設けられ、何を見るかと、街をどうめぐるかが並べて紹介されていた。
2008年の店舗別の記録は部分的だった。一方、出展者紹介には作品の素材や制作方法が詳しく記されていた。街のどこに何軒あったかという数だけでなく、どんな表現が紹介されたかを通して、その年の青参道の姿が見えてきた。
022008年に紹介された表現
田中麻記子は、前年にガラス一面へ世界観を表したことに触れながら、2008年には立体作品を展示すると紹介された。北川貴好の紹介では、緑のレーザーの光が砂利、竹、建物に関わるインスタレーションが記された。店舗の壁だけでなく、通りの素材や空間も作品を考える手掛かりになっていた。
澁谷忠臣は人物、動物、工業製品などを面と直線で再構築する表現を紹介された。岡村透子はキャンバスや和紙を重ねる手法、永岡大輔は緻密な線を積み重ねる表現を通して紹介された。紙、布、光、線などの違いが、街をめぐる視線にさまざまな焦点を与えていたことが分かった。
03作品と暮らしの間にあった展示
Generate Presents : Limited Editions by Design's Rising Starsでは、若手デザイナー7組のリミテッドエディションが紹介された。作品と商品の間にあるデザインに焦点を当てた企画だった。本池大介/本池作人の紹介では、レザーとシルバーによる表現が、商品も並ぶ店で展示されたと記された。
布を用いたAnne-Valerie Dupondの彫刻、食卓を題材にしたCHRISTOPHE COPPENSのHOME-ACCESSORIES THE TABLEなど、生活の素材や場所に関わる表現も並んだ。こうした作品を店の空間で見ることは、作品だけで完結した展示とは異なる読み方を生んだ。アートを暮らしへ迎えるというフェアの考え方が、展示の題材にも重なっていた。
04この年の記録をたどる入口
2008年の出展者紹介には、個人名に加えて、展覧会やグループの企画名も含まれていた。27の項目を、そのまま27人の作家と読み替えることはできなかった。項目ごとの説明を読むと、ひとつの名前の中に複数の表現や参加者が含まれる場合があった。
出展者の項目数は会場数とは違っていた。ひとつの展示企画が複数の作家を含み、作家の紹介にも制作方法や題材の違いがあった。この年の27項目を順に読むと、個々の作品からデザイン企画まで、通りがさまざまな出会いを提案していたことが分かった。
