青山通りから、表参道へ2007 — 2015

街歩きの覚え書き

街歩きとからだ — 寄り道の余白

青参道の案内には、大通りから路地へ寄り道をするという考え方があった。店から店へ歩く時間と、作品の前で立ち止まる時間。その両方を含めて、一日の余白を考えたい。

歩道の脇に重なる秋色の葉と店先の明かり
秋の植栽のイメージ

01道の長さと、過ごす時間は別のこと

青参道は、青山通りと表参道を結ぶL字型の裏通りとして紹介された。アートフェアでは会場が周辺の街にも広がり、通りを抜けるだけの散歩と、店をめぐる鑑賞では過ごし方が違っていた。地図の線が短く見えても、展示を一つずつ見る時間まで短くなるわけではなかった。

歩く計画では、入口までの移動と、店内で過ごす時間を分けて考える。目的の展示をいくつも並べる前に、その日は何を見たいのかを一つ決めておくと、寄り道の優先順位を付けやすい。距離や歩数を達成することよりも、見たいものに向ける時間を残すという組み立て方。

02歩く時間、立って見る時間、座る時間

ギャラリーをめぐる日は、移動の合間にも立っている時間が続く。作品の細部を見たり、説明を読んだり、次の一枚へ目を移したりする時間も、一日の過ごし方に含まれる。歩いた距離だけでは、足元や脚、腰の感覚を説明し切れない場合もある。

次の店へ向かう前に、どこかで腰を下ろす時間を考える。カフェに立ち寄るなら、飲み物とともに、さっき見た作品の印象を落ち着いて振り返る時間にする。立ち止まることと座って休むことを同じ予定にせず、店内を見続けた後には、展示から離れる余白も用意する。

03順路を決め過ぎない

店ごとの展示は、同じ長さで見終わるとは限らない。気になった一枚の前で長く過ごしたり、予想より早く次の場所へ向かったりする。その差を埋めるために足を速めるより、後の予定を減らせるようにしておく。すべてを見終えることだけを一日の基準にしない。

同行者がいる場合には、次に寄りたい場所だけでなく、いったん座りたいかどうかも共有する。作品を見る速さが違うときは、互いのペースを揃え続ける必要はない。立ち止まって相談するときには、店の入口や通行の流れを塞がない場所を選ぶ。

04靴と荷物、飲み物の覚え書き

歩く日に履く靴は、見た目だけでなく、その靴で普段どのくらいの時間を過ごしていたかを手掛かりに選ぶ。履き慣れていない靴や、持ち続ける必要のある荷物は、展示を見る時間にも関わる。荷物を整理し、手元が作品や展示台に触れないようにすることも、店内での基本の配慮になる。

飲み物のために立ち寄る時間も予定に入れる。展示室では飲食できる場所を確かめ、作品のそばで容器を開けない。秋の午後でも屋内と屋外の過ごし方は違うため、衣服を調整できるか、雨のときに荷物が増え過ぎないかも、出掛ける前に考えておく。

05途中で切り上げることも、寄り道の一部

街歩きの途中で足元が気になったり、立って見る時間が長く感じられたりしたときには、予定の数にこだわらずそこで区切る。展示を見続けることと、歩き続けることは同じ目的ではない。印象に残った作品があれば、その一つを持ち帰るように一日を終える選択もある。

青参道の催しには、街を歩く企画や、庭で一息つく場面があった。寄り道とは、予定を増やすことだけではなかった。歩く、見る、休むという違う時間を並べ、自分に合うところで区切る。その余白があってこそ、路地で見つけたものをゆっくり思い返すことができる。